「役員にも従業員と同じようにボーナスを支給したい」と考えたことはありませんか?
実は、あらかじめ税務署に「いつ、いくらにするか」を伝えておくことで、役員への賞与を会社の経費(損金)にできる制度があります。
それが「事前確定届出給与」です。今回は、その仕組みと注意点を優しく紐解いていきましょう。
簡単に言うと、「あらかじめ決めた時期に、決めた金額を支払う」と税務署に約束した役員報酬のことです。
通常、役員への賞与は原則として経費に認められませんが、この制度を正しく使えば、節税しつつ役員に報酬を支払うことができます。
この制度を利用するには、届出書を出すタイミングがとっても重要です。次のうち、「いずれか早い日」までに提出しましょう。
● A:株主総会などの決議日から1ヶ月が経つ日
● B:会計年度が始まってから4ヶ月が経つ日
【新設法人の場合】
会社を設立したばかりの方は、「設立の日から2ヶ月以内」に提出が必要ですので、早めに準備しましょうね。
この制度の魅力は、節税だけではありません。実は「社会保険料の負担を抑えられる」という大きなメリットがあります。
役員報酬のうち、「3か月を超える期間ごとに支払うもの(年3回以下の支給)」は、社会保険上は「賞与」として扱われます。これにより、毎月の給与(標準報酬月額)に上乗せされず、保険料の計算において有利になるケースがあるのです。
※ただし、この仕組みについては現在、国で見直しが検討されているので、今後の動向には注意が必要です。
この制度で一番気をつけたいのが、「決めた通りにキッチリ払う」ということです。
● 「所定の時期」を守る
届出に書いた「年月日」に、1日も狂わず支給してください。
● 「確定額」を守る
届出に書いた「金額」を、1円も違わず支給してください。
もし1日でもズレたり、金額が少しでも変わったりすると、原則として全額が経費として認められなくなってしまうという、とっても厳しいルールなんです。
「今月は資金繰りが苦しいから、業績悪化ってことでいいよね?」…実は、これも要注意です。
「業績悪化改定事由」として認められるのは、「経営状況が著しく悪化し、どうしても減額せざるを得ない客観的な状況」に限られます。
● 認められる例:
○ 従業員のボーナスをカットせざるを得ないほどの赤字
○ 家賃や給与の支払いが困難で、銀行や株主から「役員報酬を減らせ」と言われている
● 認められない例:
○ 一時的なキャッシュフローの悪化
○ 「目標利益に届かなかったから」という程度の理由
事前確定届出給与は、上手に使えば大きなメリットがありますが、ルールが非常に細かく、少しのミスも許されない繊細な制度です。
「うちは導入できるかな?」「いつ出せばいいんだっけ?」と迷ったら、早めに税理士さんなど専門家に相談することをおすすめします!
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