個人事業主から法人成り(会社設立)をすると、役員報酬の決定から社会保険の加入まで、決めるべきことが山積みですよね。「個人事業主時代に入っていた小規模企業共済はどうすればいいの?」というのも、よくあるお悩みの一つです。
結論から言うと、法人成り後も一定の条件を満たせば継続が可能です。
本記事では、法人成り後の小規模企業共済の取り扱いについて、継続のメリット・デメリットや具体的な手続き方法を、解説します。
個人事業主が加入していた小規模企業共済は、法人成りした後も「同一人通算(どういつにんつうさん)」という手続きをすることで、そのまま継続できます。
ただし、誰でも継続できるわけではありません。以下の3つの条件をクリアしている必要があります。
1. 個人事業を完全に法人化していること
2. 設立した法人の役員として登記されていること
3. 法人の従業員数が「小規模企業」の範囲内であること
※詳しい条件については、第5章で解説します。
法人成りをした際、共済の取り扱いは大きく分けて3つのパターンがあります。
一番多いパターンです。これまでの掛金納付月数を通算し、将来の退職金として積み立てを続けます。
「法人成り後の従業員数が多すぎる」などの理由で、やむを得ず脱退する場合です。この場合、「準共済金」を受け取ることができます。
● メリット: 掛金納付月数が12か月以上あれば、掛金合計額よりも多い(または同等)の金額を受け取れる。
継続できる条件は満たしているが、あえて解約する場合です。この場合、「解約手当金」を受け取ります。
● 注意点: 納付期間が20年(240か月)未満だと元本割れします。
状況 | 共済金の種類 | 備考 |
法人成りして継続 | 同一人通算 | 手続きにより継続可能 |
資格がなくなり解約 | 準共済金 | 廃業等に準ずる扱い(税制優遇あり) |
自分の意思で解約 | 解約手当金 | 20年未満は元本割れ |
継続するかどうかを判断するためのポイントを整理しました。
● 全額が所得控除の対象: 掛金(月最大7万円)の全額が所得税・住民税の節税になります。
● 利回りが比較的高い: 現在の予定利率は1.0%。銀行の普通預金より有利な運用が期待できます。
● 柔軟な増減額: 1,000円〜70,000円の間でいつでも変更可能です。
● 契約者貸付: 納付済みの掛金の範囲内で、低金利の融資を受けられます。
● 法人の経費にはならない: あくまで「個人の控除」です。法人の損金(経費)には算入できません。
● 20年未満の任意解約は元本割れ: 途中で「やっぱり現金が必要」と解約すると損をする可能性があります。
● 受取時に課税される: 将来受け取る際は「退職所得」または「雑所得」として課税対象になります(ただし、税控除が大きいため通常の所得より有利です)。
法人成り後に継続するための「小規模企業」の定義は、業種によって異なります。
業種 | 従業員数の条件 |
建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業など | 20人以下 |
商業(卸売・小売)、サービス業(宿泊・娯楽除く) | 5人以下 |
POINT
「常時使用する従業員」には、役員本人や家族従業員、パート・アルバイト(一定条件を満たす場合)は含まれません。
初回のご相談(60分)は無料です。
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