山中潤一郎税理士事務所

②家族信託とは?

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②家族信託とは?

 

家族信託の最大の強みは、その「設計の自由度」にあります。画一的な法的枠組みに縛られず、それぞれの家族の事情や希望に合わせてオーダーメイドで契約を組むことができるため、主に以下のような4つの先進的なケースで活用されています。

 

 

ケース1:本人の希望に沿った、柔軟な資産運用・事業承継

家族信託の契約書は、いわば委託者の想いを反映した「資産管理のマニュアル」です。

「このエリアの賃貸物件は売却せず、長期的にインカムゲイン(家賃収入)を狙って運用してほしい」「売却のタイミングや条件は、市場の動向を見て受託者(子ども)の判断に委ねる」といった、細かなルールをあらかじめ設定できます。

また、この仕組みは個人の資産だけでなく、中小企業のオーナー社長が「経営権(議決権)」を後継者にスムーズに引き継ぐための事業承継対策としても非常に有効です。

 

 

ケース2:二世代先まで財産の行き先を指定する(受益者連続型信託)

通常の遺言書では、「妻に自宅を相続させる」と指定することはできても、「妻が亡くなった後は、妻の親族ではなく、自分の孫に譲る」といったように、次の次の相続(二次相続以降)の財産の行き先まで拘束することは法律上できません。

ここで活用されるのが、家族信託の「受益者連続型信託」というスキームです。これを利用すれば、「第1世代は妻、妻が亡くなった後の第2世代は孫」というように、財産から得られる利益を引き継ぐルートを二世代、三世代先まであらかじめ指定・コントロールすることが可能になります。

 

 

ケース3:認知症による「資産凍結リスク」の確実な回避

本人の判断能力が低下すると、金融機関はトラブル防止のために口座を凍結し、不動産の売買契約も法律上できなくなります。これが「資産凍結」の問題です。

あらかじめ家族信託によって不動産や預貯金の管理名義を子ども(受託者)に移しておけば、万が一、親が認知症を発症した後であっても、子どもの適切な判断によって実家を売却し、その資金を親の老人ホームの入居一時金や日々の介護費用に充てるといった柔軟な対応が可能になります。

 

 

ケース4:「親なきあと問題」への備え(障がいを持つ子の生活保障)

「自分が亡くなった後、障がいや病気を持つ我が子の生活費や療養費はどうなるのか」という、いわゆる「親なきあと問題」に対しても、家族信託は非常に有力な解決策となります。

親が「委託者」、信頼できる親族や専門機関を「受託者(管理・運用者)」、そして子どもを「受益者」に設定します。「子どもの生涯にわたる生活費や医療費のために、毎月定額をこの信託財産から支給すること」と契約に明記しておくことで、親が亡き後も大切な財産が子どものために正しく、確実に使われ続ける仕組みを構築できます。

 

 

5. 総括:家族信託を成功させるために

家族信託は、これまでの法律では対応しきれなかった「生前の柔軟な財産管理」と「死後の確実な資産承継」を同時に実現できる、極めて実効性の高い制度です。

しかし、その自由度の高さゆえに、契約書の作成には高度な法務・税務の知識が求められます。特に、信託期間中の税金の取り扱いや、他の親族とのバランス(遺留分への配慮など)を誤ると、かえって親族間のトラブルを招く原因にもなりかねません。

家族の財産と未来を守るためにも、本人の判断能力が十分にあるうちに家族間でしっかりと話し合い、相続や信託の実務に精通した専門家(司法書士や税理士など)のサポートを受けながら、一歩ずつ丁寧に進めていくことが極めて重要です。

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